買い物の事情-振り売り-

 現在では宅配サービスは各種サービス業の生き残り戦略として、注目されています。
 店屋物の出前から、30分以内で届けなければ無料にするピザ屋、店舗で買った重たい荷物を後から届けてくれるといったサービスまで様々に取り揃えられています。
 しかしこうしたサービスというのは、実は江戸時代のほうが多かったのです。ただ宅配サービスとは少し違います。それは、「宅配での商売を専門にしていた」という点です。
 彼等は天秤棒を肩に担いで、町内を走り回り、各長屋で商売をしていました。その様子から振り売りと呼ばれる業態で、江戸時代には庶民にとって最も馴れ親しんだ商品購入法でした。

 肩に担いでくる商人からの購入がが中心だったのでは、さぞ不便だっただろうと思うかもしれませんが、この振り売りと呼ばれる人たち、相当な数がいたそうです。
 そして、売るものも多種多様。
 比較的最近まで数多く残っていた食材を販売する振り売りだけでも殆どの食材が揃いましたし、調理済みの惣菜も扱われていました。
 しかも振り売りの業種はそれだけに収まらず、日用品でも振り売りで揃わないものは殆ど無い程でした。
 更に驚く事には、四季を彩る様々な生物も取り扱われていました。

 こうした業態が庶民に親しまれたのは、わざわざ幾つもの店に出向く事無く、生活で必要なものが揃えられるだけの多種多様な振り売りがいたということ、店舗を構えている業態に比べると安価で購入できた事や、個別の注文に対して柔軟に対応してくれたので、江戸時代の生活に上手くフィットしていたからだと考えられています。
 特に江戸は男の多い社会だったので、独り者の男性も少なくなく、活用していたそうです。
  また、振り売りの数の多さは振り売りが鑑札さえ貰えば、簡単にすぐ始められる商売だったからだと言われています。そして、振り売りの人の中には上手くサービスや商品を取り揃える事で、自分の店を構える事が出来た人もいました。

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