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多自然型工法
 「川を生き返らせる工法」として、20年ほど前から少しずつ取り入れられているのが多自然型工法と呼ばれる河川の開発の方法です。
 それ以前の工法…そして、現在に至っても未だ代表的な工法はいわゆる「三面張り」と呼ばれる方法で、川の側面と底をコンクリートで固めて、様々な水害を防止するものです。
 確かにこの三面張りは水害において大きな効果を発揮しました。
 現在、私達が川に対して危険という意志をあまり抱かないのはこの三面張りの力によるところです。しかし、三面張りという工法は野生動物の住む環境に大きな打撃を残しました。

 まず底も舗装されているので植物が激減しました。
 この事により、川にすむ動物たちの住環境は勿論、食の環境などが大きく奪われました。
 また、氾濫しないようにと高く聳え立つ側面は川に住む生物が陸上にあがることを阻止するという結果も生み出してしまいました。川にすむ生物でも、川が水で満たされてしまえば逃げなくてはならないものも居ますが、三面張りでは直角のコンクリートをのぼることの出来る生物で無いと逃げる事が出来ません。
 こうした影響を最も如実に受けた生物としては「ニホンカワウソ」がいます。
 かつては沖縄以外の日本全土に生息していたとされるこの生き物は、現在では20数年間目撃情報がなく、絶滅危惧種に指定されています。

 そこで、動物の住む環境と調和した川を作る事により、生態系を保たなければならないという思想の元に出てきたのが多自然型工法です。その工法の特徴的な部分を挙げてみると、以下のような事があげられます。

 ・川を曲がらせる。
 ・コンクリートに土をかぶせる。(現地の土)
 ・草を植える。(周囲と調和した植生)
 ・側面に動物が登れる措置を取る。
 ・増水や渇水をある程度コントロールする。

 このように列挙すると、難しいようにも思えますが、つまりは自然の川に近い状態で水害を防ぐ事の出来る施設にするということです。それは川を曲がらせたり、増水や渇水を有る程度コントロールして人間に被害が出ない程度のレベルで起きさせるという事にあります。
 また、土をかぶせたり草を植えるというのは冒頭の「川を生き返らせる」部分に関ります。何故( )内のような注意書きが有るのかというと、よくビオトープ(人工的に動物の住む自然環境を作ったもの)を作ると、その場所だけ違う生態系が構成されることがあります。
 それはよその土や植物を持ってくることによって、本来とは違う地域がその場に運ばれてきた事になり、違う草木が芽生えたり、土の中に居た昆虫類が出てくる事があります。
 多自然型工法の目的は川を行き返させる事なので、周囲と違う環境がその場に誕生しても何の意味もありません。なので、出来る限り現地の土や植物を移植する事によって、その川が本来持っていた生態系や植生を回復させる事こそが大切な目標なのです。

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